危ない蜜ろう(ダニ剤残留とパラフィン蝋混入の古巣蜜ろう)

 残念なことに、危ない蜜ろうの話が聞こえてきました。しかし、うちの蜜ろうは、安全なことに気づきほっとしました。
 それは、化粧品やクリームに使われる蜜ろうが汚染されているかも知れないということです。蜜ろうを使った安全な化粧品と思って使っていても、実は蜜蝋そのものに薬剤が含んでいて肌トラブルを起こしていることも考えられるのだそうです。
 少し前にいらしたお客様が「蜜ろうの化粧品でアレルギーになり現在は蜜蝋を含まないものを使っている」とおっしゃっていたことがありました。内心、なにかの勘違いだろうと思って聞いていましたが、このことだったのかも知れません。
 その汚染とはどういうことかというと、養蜂では、ミツバチに寄生するダニを駆除するために2種類のダニ剤が使われています。そのうちの一つがフルバリネートを主成分とする薬剤「アピスタン」です。これはハチミツには残留しづらいものの、脂溶性なので、蜜ろうには残留するというのです。
 オーガニック系のダニ剤もあるのですが効果は弱いので、業界では薬剤に頼らざるをえない状況なのです。
 ダニ剤による蜜ろうへの残留は、40×20cmの巣枠(木枠)の中の巣板(巣脾)本体におきます。巣板は最低3〜4年は大切に使うものです。新しい巣は採蜜時に壊れやすいので、一年経ってからのほうが使いやすいのです。 
 ダニ剤は、巣板と巣板の間に薬剤の染み込んだプレートをぶら下げておき、それにミツバチが接触して、身体に付いたダニが落ちるしくみです。もちろん採蜜時に使用することは禁止されています。
 では、うちの蜜ろうがなぜ安心かというと、巣板本体の古い巣は使っていないからです。それは、鮮やかな天然色を重視して製造しているのと、カヌレという菓子材料やリップやハンドクリームの材料としても販売してきたので特に注意してきたことです。巣本体の古い巣を溶かすと、本来とは違う変色したこげ茶色の蜜ろうになってしまうのです。
 また、養蜂では人工的に巣枠にきれいに巣を作らせるためにガイドとなる蜂の巣模様の蜜蝋シート(巣礎)をはさみ込んでミツバチにあてがうのですが、そのシートは、六角形が崩れないよう固いパラフィン蝋(石油系)を混ぜてあるのです。ですから、仕入れ先の養蜂業者のみなさんには、絶対に巣本体の古い巣は混ぜないことを約束してもらっているのです。
 万一、パラフィン蝋が含んでいると固まった時の形状が変わるので、私は一目で分かります。私の仕入れ査定額はさらに厳しくタダ同然に安くなります。二十数年の付き合いでそのような蜜ろうを送ってくる養蜂家さんは誰もいません。新規に送って下さる方のものには含んでいることがあります。
 では、どんな蜜ろうを収穫しているのか。巣板の外側に新しくはみ出してつくられた「無駄巣」と、巣穴がハチミツで満タンになるとろうで蓋をする「蜜蓋」の部分です。
 採蜜の季節、養蜂家は巣板と巣板のすき間をあけて、巣穴を新しいみつろうで盛り上げ深くさせます。さらにその上に蜜蓋をすることになります。その蜜蓋を蜜刀で切らないと遠心分離機で回しても蜜は飛び出さないのです。無駄巣も蜜蓋も、作り立ての新しい巣なので、古い巣が混じることはありません。
 色がきれいな黄色や橙色(濃淡・退色あり)で、腐臭がせず、かたまりの形が良く、柔らかく、割った時の粒子が粗い。これが私が査定する新鮮で質の良い蜜ろうの特徴です。
 ハチ蜜の森キャンドルの蜜ろうは胸を張って「
安全・安心」です。



上部の白い所が「蜜ぶた」下部のはみ出ている所が「むだ巣」


(平成27年8月 ハチ蜜の森キャンドル通信「ハチ蜜の森から」No.37掲載)

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