私の仕事

 私は「伝燈業」を営んでおります。
 森が「優しさ」を人に放つためのお手伝いをする者です。ですから、私が蜜ろうそくの主ではありません。主は森です。自然です。
 森の樹々や草々は、大地から神聖な水や養分を受け取り、体内加工して甘い蜜を作り、花を咲かせます。ミツバチは、神聖なハチミツを受け取り、体内加工して蜜ろうを作ります。私は神聖な蜜ろうを受け取り、小さな工場(こうば)でこつこつと蜜ろうそくを作ります。
 私はこの灯りの魅力を損なうことなく、汚すことなく、多くの人に伝えることを日々努力しています。樹々や草々やミツバチと同じで、それが私と森との間に交わされた契約だと信じています。
 特に、聖夜までの三ヶ月間。私はとても忙しい季節を過ごします。やりたいこともできずに、朝から深夜まで働き続けます。「伝われ、伝われ」と、願いをこめて作り続けます。正直、辛いと思うこともありますが、体がひとりで動いてしまうのです。実は嬉しいのです。
 神聖な蜜ろうそくを灯して下さった人は、優しさに満ちた夜を過ごすことができるでしょう。その神聖な優しさで何かを作って、誰かに渡してくれるといいなと思っています。
 私は森の「伝燈使」です。 よく考えると私も自然でした。

        ハチ蜜の森キャンドル 安藤竜二